夏が終わる‥9月になった途端に感じてたあの「ああ、夏が終わってしまうぅ〜」という感じは、今や長引く暑さで、実感にズレが生じる今日この頃。
とはいえ、もう今月には秋分(今年は9月22日)がやってきて、とうとう昼と夜との長さが同じになってしまう!
子供の頃から、夏が大好きなので昼の長さに敏感でした。好きな順はもちろん6月の夏至、春分、秋分、冬至の順。毎年四半期に一度、「今日は昼の長さが1番長い日だね!」「やっと昼と夜の長さが一緒になったよ〜」などと周りに告げています。「へー」とほば無関心な反応です。
夏の終わりの懐かしい想い出、浅草雷門のお蕎麦屋さんに、10数年ぶりに行ってみました。記憶より少し狭く感じた店内は清潔で、
菊正宗の樽酒も焼き海苔も藪蕎麦も想い出どおりでした。天ぷらも美味しい。是非、行ってみて欲しいお蕎麦屋さんです。
「明るいうちから、蕎麦屋で一杯やってシメに蕎麦食べて帰るか。」
30代の頃勤めていた会社で、取引先から直帰の際に江戸っ子の専務が言った。
浅草駅近くのその蕎麦屋は、1913年(大正2年)創業の藪蕎麦屋で、ごひいき筋からは「雷門の薮」と呼ばれているらしい。めちゃカッコいい。
外の明るさはわかる程度の薄暗く趣のある店内で、焼き海苔や板わさをツマミに菊正宗の樽酒を熱燗で頂く。ほんのり樽香がする。粋なオトナになった気分だった。
(*焼き海苔は ↓写真の「焼き海苔箱」と呼ばれる箱入りで提供される。なんと室町時代より蕎麦屋の名店にて酒の肴に使用され炭火で海苔を温める道具だそう。 炭火で温められた海苔は、香りと風味、さらにパリッとした食感を味わえ、日本酒にとにかく合う。ふたを開ける時、意外とワクワクします。
ちなみに藪蕎麦(やぶそば)とは緑がかった麺と塩辛いそばつゆが特徴のお蕎麦。確かにつゆがほば醤油の様にしょっぱめで、専務には蕎麦の先をちょっとつゆにつけて食べなさいと指南された。
冬は鴨南蛮のつゆをアテに熱燗を飲むのがいいよと教わり、蕎麦屋でそんな生意気な呑み方してる女子いますかねぇなどと笑う。
この後しばらくして、専務は奥様のご病気をきっかけに辞任された。
夏の終わり、とてもお世話になった粋な専務との、最後の想い出になる豊かな時間だった。
◆今回紹介の
『 並木 藪蕎麦(なみき やぶそば) 』は、
浅草寺から徒歩5分ほどの場所に位置しています。